2023年4月より山田敏彦会長の後任として日本草地学会の会長を拝命いたしました。長い歴史と伝統を有し、日本の草地研究と草地農業の発展を支えてきた本学会の舵取り役を担うことに、身の引き締まる思いでおります。歴代会長の皆さまが築いてこられた学術的・社会的基盤の重みを改めて感じつつ、役員一同とともに学会運営に誠心誠意取り組んでまいります。
近年、草地を取り巻く環境は大きく変化しています。気候変動に伴う高温・乾燥・豪雨などのリスク増大、飼料自給率向上への社会的要請、放牧畜産の再評価、耕作放棄地の増加と草地管理の担い手不足など、草地科学と草地農業の双方において複合的な課題が顕在化しています。こうした状況に対し、本学会が果たすべき役割はこれまで以上に大きくなっています。科学的知見の深化と現場への実装、その両輪を強化することが求められています。
本学会の重要な事業である学会誌の発行については、編集委員会を中心に内容の充実と国際的な発信力の向上に努めてまいります。会員の皆さまには積極的な論文投稿をお願い申し上げます。また、若手研究者の育成は学会の将来を左右する最重要課題です。研究発表の機会提供に加え、国際会議参加支援など、若手が挑戦し成長できる環境づくりを一層推進してまいります。
一方で、会員数の減少と高齢化は草地学会においても深刻な課題です。学生会員の新規加入促進だけでなく、大学院修了後の継続的な参画促進が不可欠です。研究職に限らず、行政、教育、企業、普及、牧場現場など、多様な立場の方々が草地学会に参加し、知識と経験を共有できる学会を目指します。また、女性研究者・技術者が活躍できる環境整備も重要な使命と考えております。
さらに、草地管理や放牧畜産に関する社会的関心が高まる中で、学会としての社会発信も強化してまいります。草地の多面的機能、生態系サービス、地域振興との関わりなど、草地科学が持つ価値を広く伝えることは、学術団体としての責務であると考えております。
これらの取り組みを進めるため、会員の皆さまのご協力が不可欠です。世代や専門分野を超えた交流を促し、若手もベテランも共に参加して楽しい、そして活力ある学会を築いていきたいと願っております。
微力ではございますが、学会の発展と草地科学の未来のために尽力してまいります。今後ともご指導とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2023年4月
築城幹典
